韓国企業のM&A、財務デューデリで差をつけるプロの一言
こんにちは!皆さんの韓国語スキルをビジネスレベルにアップグレードする【毎日ハングル】です!
今日は少し専門的ですが、知っておくと非常に強力な武器になる「M&Aにおける財務デューデリジェンス(財務DD)」で使われる韓国語表現を学びます。最近、韓国では未来の成長動力を確保するため、ITやバイオ分野を中心に海外企業のM&Aが活発に行われています。このような状況で、皆さんが韓国企業とのM&A交渉の最前線に立つことになったら? 正確かつプロフェッショナルな言語能力は、交渉を有利に進めるための必須スキルです。今日は、相手に敬意を払いながらも、鋭く核心を突くための表現をマスターしてみましょう!
核となる必須表現 (Core Expressions)
M&Aの現場であなたの専門性を示すことができる、重要表現を3つ厳選しました。
1. 실사 자료 일체를 요청드립니다 (Silsa jaryo ilchereul yocheongdeurimnida)
- 英語の意味: We request the complete set of due diligence materials.
- 日本語の意味: デューデリジェンス(DD)資料一式を要請いたします。
- 詳細説明:
これは財務DDのキックオフで使われる、最も基本的かつ重要な表現です。「실사(実査)」はデューデリジェンスを指す業界用語。「자료(資料)」に「一切」を意味する「일체」をつけることで、「必要な資料すべて」というニュアンスを明確に伝えることができます。「요청합니다」よりも謙譲の意を含む「요청드립니다」を使うことで、丁寧かつ断固とした要請の意志を示せます。 - 💡 発音のコツ (Pronunciation Tip):
「요청드립니다」の発音は、表記通り「yocheong-deup-ni-da」ではなく [요청드림니다/yocheongdeurimnida] となります。これは鼻音化という現象で、パッチムの「ㅂ(p)」の後に鼻音である「ㄴ(n)」が続くと、「ㅂ」が同じ鼻音の「ㅁ(m)」に変化するためです。「감사합니다(kamsahamnida)」が[감사함니다]と発音されるのと同じルールですね。
2. 재무제표상 N 항목에 대해 소명 자료를 보강해 주시기 바랍니다 (Jaemujepyosang N hangmoge daehae somyeong jaryoreul boganghae jusigi baramnida)
- 英語の意味: Regarding item N on the financial statements, please reinforce it with explanatory materials.
- 日本語の意味: 財務諸表上のN項目について、疎明資料を補強してください。
- 詳細説明:
提供された資料に不明瞭な点や疑問点があった場合に使う、非常に専門的な表現です。「재무제표(財務諸表)」はビジネスの基本単語ですね。「소명 자료(疎明資料)」とは、特定の項目についてその正当性や背景を「釈明・証明するための資料」を指します。単に「추가 자료(追加資料)」と言うよりも、「なぜこの数字になったのか、論理的な説明を求める」という、より高度な要求のニュアンスが含まれます。「보강해 주다(補強してくれる)」という言葉で、資料の質的向上を促します。 - 💡 発音のコツ (Pronunciation Tip):
「항목에」の発音に注目しましょう。表記は「hangmok-e」ですが、実際には [항모게/hangmoge] と発音されます。前の文字のパッチム「ㄱ(k)」が、後ろの母音「에(e)」と合わさって自然に音が繋がる「連音化(リエゾン)」が起きるためです。韓国語の流暢さは、この連音化をいかに自然にできるかにかかっています。
3. 실사 과정에서 발견된 우발채무의 발생 가능성을 어떻게 평가하십니까? (Silsa gwajeong-eseo balgyeondoen ubalchaemu-ui balsaeng ganeungseong-eul eotteoke pyeonggahasimnikka?)
- 英語の意味: How do you assess the probability of the contingent liabilities discovered during the due diligence process?
- 日本語の意味: DD過程で発見された偶発債務の発生可能性を、どのように評価されますか?
- 詳細説明:
これは財務DDの核心とも言える「隠れたリスク」について問う、非常に高度な質問です。「우발채무(偶発債務)」とは、将来特定の条件が満たされた場合に発生する可能性のある債務(例:訴訟損失引当金など)を指す会計用語です。この質問をすることで、あなたが表面的な数字だけでなく、潜在的なリスクまで深く分析している専門家であることをアピールできます。「평가하십니까?(評価されますか?)」と尋ねることで、相手方の見解と根拠を具体的に引き出すことができます。 - 💡 発音のコツ (Pronunciation Tip):
「가능성」の発音は [가능썽/ganeung-sseong] となります。パッチム「ㄴ(n)」の後に平音の「ㅅ(s)」が続くと、「ㅅ」が濃音の「ㅆ(ss)」に変化する「濃音化」という現象が起こります。これにより、よりハキハキとしたプロフェッショナルな印象を与えることができます。「발생(発生)」も同様に[발쌩]と発音されます。
実践!M&A交渉の現場 (Example Dialogue)
日本の投資会社Aが、韓国の有望なバイオスタートアップB社を買収するシナリオです。
A (買収側): B사의 재무 상태에 대한 실사 자료 일체를 요청드립니다. 특히, 최근 3개년 간의 현금흐름표를 중점적으로 검토하고자 합니다。
(B社の財務状態に関するDD資料一式を要請いたします。特に、直近3年間のキャッシュフロー計算書を重点的に検討したいと考えております。)
B (被買収側): 알겠습니다. 요청하신 자료는 내일까지 전달해 드리겠습니다。
(承知いたしました。ご要請の資料は明日までにお渡しします。)
(数日後)
A (買収側): 자료 감사합니다. 검토 결과, 재무제표상 ‘기타영업외비용’ 항목에 대해 소명 자료를 보강해 주시기 바랍니다. 세부 내역이 불분명한 부분이 있습니다。
(資料ありがとうございます。検討の結果、財務諸表上の「その他営業外費用」項目について、疎明資料を補強してください。詳細内訳が不分明な部分があります。)
B (被買収側): 네, 해당 부분은 현재 계류 중인 특허 소송 관련 비용입니다. 관련 자료를 즉시 준비하겠습니다。
(はい、その部分は現在係争中の特許訴訟関連費用です。関連資料を直ちに準備いたします。)
A (買収側): 그렇군요. 그렇다면 그 실사 과정에서 발견된 우발채무의 발생 가능성을 어떻게 평가하십니까? 패소 시 재무적 영향이 클 것으로 예상됩니다。
(なるほど。でしたら、そのDD過程で発見された偶発債務の発生可能性を、どのように評価されますか? 敗訴時の財務的影響は大きいと予想されます。)
文化のヒント & トレンド深掘り
韓国のビジネス文化、特にM&Aのような重大な交渉の場では、「빨리빨리(早く早く)」の文化とは裏腹に、非常に慎重かつ徹底的なプロセスが重視されます。
今日の表現のように、単に「자료 주세요(資料ください)」と言うのではなく、「실사 자료 일체를 요청드립니다」と格式ある語彙を使うこと、疑問点を「왜 그래요?(なぜですか?)」と直接的に聞くのではなく、「소명 자료를 보강해 주시기 바랍니다」と要求することで、相手の専門性を尊重しつつ、こちらの要求水準の高さを示すことができます。
最近の韓国IT・バイオ業界のクロスボーダーM&Aでは、このような精緻なコミュニケーション能力がディールの成否を分ける鍵となっています。今日の表現を使いこなせれば、あなたは単なる通訳者ではなく、ディールを成功に導く戦略的パートナーとして認識されるでしょう。
まとめと練習問題
今日は、韓国企業とのM&A交渉という高度な状況で使える、プロフェッショナルな表現を学びました。
- 실사 자료 일체를 요청드립니다。 (DD資料一式を要請します)
- ~에 대해 소명 자료를 보강해 주시기 바랍니다。 (~について疎明資料を補強してください)
- 우발채무의 발생 가능성을 어떻게 평가하십니까? (偶発債務の発生可能性をどう評価されますか?)
これらの表現は、あなたの韓国語能力とビジネス遂行能力を同時に証明してくれる強力なツールです。
✏️ 練習問題:
次の( )に、今日学んだ表現の中から最も適切なものを入れて、文章を完成させてみましょう。
- 제출해 주신 감사 보고서를 검토한 결과, 몇 가지 불분명한 점이 발견되었습니다. 무형자산 평가액 부분에 대해 ( ) 주시기 바랍니다。
- 이 계약서에는 미래에 거액의 손해배상 책임이 발생할 수 있는 독소 조항이 포함되어 있습니다. 이 ( )에 대해 법무팀의 공식적인 의견을 요청합니다。
今日学んだ表現を使って、ぜひコメント欄で練習問題の答えや、自分なりの応用文を作ってみてくださいね!